「光をくれた人」
劇場公開日 2017年5月26日
ニコラス・ウィンディング・レフン。
ドゥニ・ビルヌーブ。
デレク・シアンフランス。
マイケル・ベイ。(笑)
レフンの「ネオン・デーモン」でいきなりがっかりし、ビルヌーブの「メッセージ」でさらにがっかりした。
いずれも「彼ららしい」映画だったし、それぞれの持ち味を発揮したものであったのは確かですが、いずれも持ち味発揮が、観客置き去りの表現になっていたことや底の浅さにがっかりしたのです。
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そして、デレク・シアンフランス。
日本での「ムーンライト」の公開を早めることで、その煽りを食らって公開延期。ゆえに注目度はかなり低かった。だが、「ブルー・バレンタイン」、「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ」続けて大傑作を放った監督である。もはや何の威厳も感じないオスカーの作品に追いやられたこと程度で本作への僕の関心度は下がるわけがない。
僕は徹底的に本作を支持する。
デレク・シアンフランスがメロドラマ?と初めは思ったのは事実だが、先の2本も思い出せば、そうだった。「愛」「夫婦」「親子」の物語だ。
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本作のストーリーはとてもベタ。だがその話を美しい絵と3人の役者と丁寧に整理された脚本に感服する。
ここまで堂々と、ベタなメロドラマを、自分のスタンスで観客を楽しませてくれていることは本当にすごいことだ。
さらに今回は舞台が舞台だけに、自然の美しさが加わり、特にその引きの画が本当に素晴らしい。岬の灯台、地平線、船を旋回するカメラ。音響効果もとてもよく、常に鳴り響く風と波の音のなかでもセリフはよく聞こえる。
役者については、3人みんな素晴らしいが、特にファスベンダー。序盤の孤独な姿、中盤の笑顔、後半の決意の顔。
ビカンダーも「幼な妻」感がとっても良く、感情的に行動する姿がかわいくも、とても危うく、だが愛おしい。
ワイズのほうもこちらは「若い旦那」との恋に生き、ヒステリックになりがちな役を抑えて好演。
ファスベンダーの行動に疑問を抱く人もいるかもしれない。だが彼は失ってきた人、奪ってきた人なのだ。そしてラストでわかるように、結果「与えてきた」人なのであるゆえ、「赦し」を得た人なのだ。
そう、それはファスベンダーだけでなく、主要人物3人とワイズの夫と父親も含め、みんなそうなのだ。
だから、あのラストは必要であり、死ぬほど泣けてしまうのである。
「光をくれた人」
良き邦題。
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