「イコライザー」 黒い年老いたビン・ディーゼルかと思ったら、スティーブン・セガールだった。

!!「マイ・ボディガード」(原題Man on Fire)の激しいネタバレもしています!!

デンゼルの大傑作「マイ・ボディガード」

 本作、観る前の期待として、少女を助ける、実は凄腕。そう、これ、「マイ・ボディガード」のあの興奮再び、を感じさせるもの。

シンザン
シンザン

 トニー・スコット&ダコタ・ファニングVSアントワン・フークワ&モレッツ

 トニーVSフークワだと、トニーの圧勝なので(個人的趣味)、ダコタとモレッツに焦点を当ててみるが、今回のクロエ・グレース・モレッツの娼婦姿がものすごいリアルでちょっとびっくりしたのだが、ああ、これ「タクシー・ドライバー」でいくのかと思ったら、だんだんと風呂敷がでかくなります。

 

 モレッツとデンゼルのシーンと、ダコタとデンゼルのシーンはともに芸達者同志、とても見どころがあります。ただしデンゼルが行動を開始するのに、動機としてはダコタのほうが圧倒的に原動力になるので、ドラマとしては、どうしても本作、比較をすると分が悪い。

 しかし、それをのぞいても本作、「マイ・ボディガード」に勝てる点がほとんどないんです。唯一、ロシアの殺し屋、という明確な敵がいる、という点でしょうか。

 それでも、「マイ・ボディガード」のほうは、見えざる敵を暴き、追い詰め、意外な悪人が見えたりと、サスペンス的要素も大いにありました。

 あまりにも僕が「マイ・ボディガード」を好きすぎるので、本作に対する「マイ・ボディガード」の夢、再び、という持ってはならない願望を払しょくしたうえで改めて評価。

シンザン
シンザン

 それでも、ダメかなあ、コレ。

 

動機が見えない

 本作、決定的に甘いのは、やはり動機。なぜ、デンゼルが手を下すの?

 冒頭、人生、もっとも重要な日の2つのうち、ひとつは生まれた意味を知った日、という一文が紹介されるが、彼がモレッツのために立ち上がったのが、「その日」なら、CIAとして活躍していた日々から抜けた理由をちゃんと描かないとダメでしょう。

 そのうえで、彼がしなければいけない理由を描かないとダメでしょう。

 また、行動も軽率すぎます。律儀な生活を送っている描写をしながらも、敵のアジトに乗り込む軽率っぷり。どこが元CIAですか。
 

The Equalizer

 デンゼルの無敵っぷりは別に構いません。不正を正す、悪を滅する。昼の顔と夜の顔、正義と悪、そして演出は光と闇の交差にこだわってます。

 その割に、主人公が全然見えてこない。主人公こそ、昼と夜、過去と現在、対比すべき要素を持ったキャラクターなのに。

 デンゼルが出るので、世をイコライズ、だが本当は自分をイコライズ、というのが、この映画のキモなのだと思ったが、これではセガールの映画。

 そう思えば、これでも構わないが。

シンザン
シンザン

・・・構わないのか?

さいごに

 

 本作の制作過程には、やっぱり「マイ・ボディガード」(原題Man on Fire)の影響があると思います。なぜなら、「マイ・」の主人公クリーシーを死なすべきではなかったというファンの声が大きかったからです。

 しかし、あの映画では、ピタが生きている、ということは、クリーシーは死に場所を得た、というほかならない。彼は死ぬしかないのです。

 「死ぬべき男の死に場所ここに見つけたり」が「マイ・ボディガード」の主題なので、人気の出そうな、同じようなキャラクター(でも死なない)で映画を作ろう、ということになったのではないかと思われます。

劇場公開日2014年10月25日

コメント