稀代のヒットメーカー、リュック・ベッソンの真骨頂。
リュック・ベッソンをすっかり小馬鹿にしてきていた僕の脳みそをぶちのめす、きわめてオーソドックスなSFアクションを送り出してきた。
本作のキモは、複製のルーシー、乳から取れるドラッグ。
本作のルーシーという名はいきなり人類初の女性と言われたルーシーの複製の登場、アーシーな映像をチラチラ挟むことで、ただならぬ雰囲気を漂わせ、チャラチャラしてきたルーシーが人知の及ばない世界へ連れて行ってくれる。
このドラッグが乳から作られる、っていうのが、人類誕生を重ねており、一方でドラッグから神様誕生かよ(笑)、と大いに突っ込んで頂戴、とベッソンがにんまりしているような設定でもあります。
ルーシーが拉致られる前にぶん殴られるところからのカウントスタートが実に面白く、徐々にルーシーが、無表情に神様に近づいていく。
それは、演技のウマヘタ、という次元を超え、「神になる」、という、誰も想像したことのない未知なる世界へ、ヨハンソンは我々を連れて行ってくれる。
松本人志の「しんぼる」に足らなかったのは、覚醒への過程がごっそり欠けている点。
だいいちおっさんがティンティンを触っても面白くないしね。
ベッソンは間違いなく稀代なヒットメーカーですが、これまで観客が彼に求めているもの、というのが分かっているのに、自分が監督をすると、自己優先、観客置いてけぼりの映画が多くなっていたことは確か。
名作、とまで言われる「レオン」も相当偏った映画ですよね。
ヒットメーカーという点でマイケル・ベイを例に挙げると、ベイはいつだって、映画ファンから見た「マイケル・ベイ」であり続けながら、進化している。ベッソンは、徹底して反復。
前作「マラヴィータ」という、デ・ニーロ、スコセッシに遠慮しすぎな、箸にも棒にも掛からないような結果となった、からの本作は持ち味フルに発揮し、まったく素晴らしい作品になったと思います。
劇場公開日 2014年8月29日
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