「ダーク・プレイス」
劇場公開日 2016年6月24日
「ゴーン・ガール」原作者。シャーリーズ・セロン。ニコラス・ホルト。「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のコンビ。の割には、地味な公開だが、セロンの「男前」な姿を見てしまっては観ないわけにはいかない。
製作陣にはセロン自身の名前もある。自身が製作した「モンスター」、「あの日、欲望の大地で」並みに「気合」だけは間違いなく入っているだろう。
「ダーク・プレイス」
カンザスで一家惨殺の生き残りの少女、犯人はその子の証言で長男ベンが逮捕され終身刑。その少女リビーは大人になり、世間からの同情のボランティア基金で生活してきたが、事件も風化し、フラフラと働かずに生きていたリビーは金に困っていたそんなとき、事件の真相を暴くことに関心を寄せる集団の一人に声をかけられ、忌まわしい過去を振り返り、真相を探る。
はい、探偵「シャーリーズ・セロン」のハードボイルドもの、ノワールものです。目深にかぶった帽子、ヨレヨレのシャツ、そしてオットコ前の顔、肩幅、高身長。最高にカッコイイ。
この映画に登場する女性陣、みんな、激しくやさぐれている。リビーの母パティは農場経営のひっ迫と別れた夫の脅迫、ベンの彼女で、悪魔崇拝で17歳で妊娠したディオンドラなど。リビーの姉、年下の女の子クリシーもそうだ。
いずれも当時の不況と世情、そしてまた揃いも揃ってやさぐれた男どもに苦しめられる。
妊娠した悪魔崇拝者、という狂った役がよく似合ってたクロエだが、母パティを演じたクリスティーナ・ヘンドリックスが健気さ溢れて素晴らしい。
だが、映画の出来ははっきり言って残念だ。
忌まわしい過去を振り返りつつ、リビーが真相にたどっていく、ということになるのだが、どうにも見せ方がよろしくない。途中、過去のシーンがちょいちょい入るのだが、一体誰の視点で、誰の証言で断片的に回想を見せられているのか、分からない。
これまでリビーが全く過去に触れなかった、という点はまあ、置いておこう。金に困ってこれまで会わなかった終身刑の兄に会いに行くのもいい。探偵ものだから、これでいい。
だが、最終的な一番「悲しい事件」にたどり着くのに余計なエピソードやアクション、登場人物が邪魔をしていて、それがミスリードにもなっていない。
ただ単に結果「やさぐれた」女だけに焦点を置いた作品にとどまってしまっている。
それは、これまでセロンが製作してきた上記2作品と共通しているのかもしれない。セロン自身も幼少時代、凄惨な事件を経験しているがため、その思いが強すぎてしまって、バランスを欠いてしまったように思える。
またその「事件」に加担している人物の「あり得なさ」感がはなはだしく、ラストのニュースもはっきり言って手抜きすぎる。
「殺人クラブ」の存在や、ホルトの役なんて顔がヤバイ(でも美形)だけにまったく無駄。
やさぐれた女たちは確かにきっちり描かれている。だが、ハードボイルドもの、探偵ものとしては、全く面白くない、というのが結論。
追記
でもセロンはひたすらカッコイイ。これで終わらすにはもったいない風貌。ラストは帽子なんかとらず、その風貌で探偵業を開業し、続編を作ってほしい。
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