「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」かたちはアメコミヒーローもの1発目だが

オリジナル1作目へのリスペクトも随所にありますが、むしろ幅広い観客層に観てもらいたいという意気込みを感じます。

 

 

オリジナル1作目にどうつながるかは、確かに僕ら年配層には興味があるわけですが、エンドロールでちょろっとやるぐらいなんだから、作り手の「この1作で楽しませてやるぜっ!」の意気込みを感じて、なかなかいいです。

 

 

やや猿の決起の要因が浅いと言う意見もあるようですが、子供が見るには、悪い人間のおにいちゃん一人で十分でしょう。そこは僕らは大目に見よう、というか、「ああ猿なんだし」で片付ければいいだけ。アルツハイマーの病気は子供に理解できないかもしれないが、おかしいってのは、フォークを正しく持たせるシーンで十分なんですね。

 

 

人物描写が甘いと言う意見については、知恵のついた猿を理解しようとしたが、自分の立場を理解した猿には「やんわりと拒絶」された主人公。猿に知恵がつくことに恐怖を感じた恋人、この猿生意気だ、といたぶる悪いおにいちゃん、金儲けのことしか考えていない黒人。

十分です。

 

 

一方猿のキャラクターは漫画ですか、の世界ではあるが、なにせしゃべらないんだから、むしろそれぐらいステレオタイプの方がいい。

 

 

これはずるい、というか作戦勝ちだと思うんだけど、エテしてダレる中盤を、猿の、猿関係を築く展開が目が離せない出来になっている。これが人間だったら、刑務所で喧嘩して、なんかかっこいいセリフ吐いて、オレがボスだってなりかねないんだけど、キーキーで表現できています。これってとってもスゴイことです。

 

 

まあ、ちょっと減点なのは、オランウータンとのやり取りが余計だったぐらいで、「スーパーマン」の青年時代のエピソードに匹敵する中盤。

 

 

カメラもいい。もうここしかないって位置、アングルで決めていて、クールで上品です。

 

 

終盤の大乱闘も面白い。町じゅう猿だらけ。猿が橋を渡る渡る!登る登る!霧の中からシーザーが馬に乗って現れるシーンなんかめちゃくちゃかっこいい。

 

 

作り手はまずシーザーに徹底的に感情移入し、中盤のドラマから観客に、一気に後半の猿の大行進に爽快感を持たせ、同時に恐怖を抱かせることに成功している。このさじ加減が絶妙なんです。

 

 

ラスト、猿はひと暴れして自由になったぞーっと町を見下ろすだけで、決して人間と猿が逆転したとまでは言っていない。あくまでオリジナル1作目との繋がりは、エンドロールのみ。これは今後続編が出来るかもしれないが、本作の立ち位置としては、行き過ぎず十分。

 

 

つくり方としては、アメコミヒーローものの1発目という感じに仕上がったが、猿への感情移入からくる希望と自虐的に人類の絶望を感じさせる語り方は作り手のねらいどおりでしょう。

 

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