!!!ネタバレ全開です!!!
レビュータイトルにある通り、笑って、ビビって、最後にややホッコリする、ていうのは、シャマラン映画の定石で、今回の「ヴィジット」はそれにうまい具合にハマっています。
しかし、これは「笑って、ビビって、ホッコリして、『シャマラン、復活したじゃん!』と満足していると、ふとそのことに罪悪感を感じてしまいます。
映画ファンなら、シャマラン映画は、どうしても身構える。多分に漏れず、僕もそうだ。
本作の宣伝文句の3つの約束は、明らかに主人公らを「太らせて食う」ことの暗示。
でも僕は、
1)実はお母さんもグル
2)実は弟が宇宙人
3)実は姉が首謀者
本気でそこまで思いました。
事実シャマランは、それらを妄想させるようにも作ってはいる。スカイプの母の「Hate」の「Love」返答、子供心以上に、むやみに暴こうとする弟、背伸びした大人のふるまい以上に、老人たちを擁護する姉。そしてそれぞれのインタビューで吐露する苦悩。
だが、実際は一番シンプルな落としどころ。
キ〇〇イ、精神病院患者の老人男女。
この設定で、笑ったり恐怖したことに申し訳ないと感じる僕がいる。
でも、これは、シャマランは僕みたいなやつを想定したうえで、それを分かったうえで、この落としどころにしているね。純粋に映像でびっくりさせるホラー映画として楽しむ観客をあざ笑い、
「お前ら、何見て笑ってんだよ、何見て恐怖してんだよ、人間くさってんな」
とシャマランからの猛烈な観客への攻撃。これに気付いた時、観客は本当の恐怖に落とされる。
そこまでの作り込みをスゴイととるか、めんどくさいなあ、ととるかは人それぞれ。
ハンケツで縁の下を這いずり回る老人を笑うこと、子供が人を殺すこと、ウ〇チを顔に塗られること。そしてこの事件を成長の糧にすること(姉は鏡の前で色気づき、弟のラップはキレを増す(笑))、母との絆の再確認という美談にすること。
僕ははっきり嫌悪します。
映像としての恐怖演出は日本のホラーに影響ありな、見事な演出。
それでも、前半のダラダラははっきり言って、頭の中で色々考え、どんでん返しを巡らせる観客の未だの、「シャマランしるし」洗脳効果に甘えていると思います。
インタビューで、母との思い出を聞き出そうとすると、(当然知らないのだから)パニックになるなど、きれいな伏線もあるんだから、やっぱり、キ〇〇イ、精神病院患者という設定は外してほしかったかな。
劇場公開日 2015年10月23日
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