オトコの好きな映画ってあるよね。
僕的には「ロッキー4」を筆頭に「ラスト・オブ・モヒカン」「スカーフェイス」「マイ・ボディガード」あたり。
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これらの共通点って、あえて言うなら、ロマンチックなパワーがみなぎっている、みたいなことでしょうか。「アポカリプト」もいい線いっていると思う。
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世間的には評価が高かろうが、僕的には全くロマンを感じない映画がこの「アンタッチャブル」。
それは当時中学生の僕が一生懸命培ってきた「映画愛」に応えてくれなかったことが大きい。
もちろん劇場公開時には、これほど胸躍らせた映画もなかった。当時中学生の僕は、ギャング映画が大好きだった。
「ゴッドファーザー1、2」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」「スカーフェイス」「バラキ」。
くっそ高いレンタルビデオ代の時代。当時の1番のヒーローはチャールズ・ブロンソンである、ってどんな中学生か、というのはおいといて、アル・パチーノ、デ・ニーロも劣らず憧れだった。
また「バラキ」はさておき、「ギャング映画」=「長い映画」=「どっぷりひたった」=「僕、映画通」という幼い方程式で自分でニヤニヤしていた年ごろである。当時の僕の映画愛はギャング映画によるものだ。
で満を持して「アンタッチャブル」。
禁酒法、アル・カポネ!デ・ニーロ!久々タッグのデ・パルマ!ちびるほど期待をさせてくれた。不安は一切無かった。
ハゲデブデ・ニーロ、ガルシアの定規で書いたような顔。モリコーネのゾクゾクするようなテーマ曲とオープニング。
最高だった。
しかし不満も多くあった。
上映時間が短い。コスナーがなんだか気持ち悪い。階段のシーンがダサい。
まず上映時間だが、その数年前に「ワンス・」「スカーフェイス」という長尺ものがあったにも関わらず、急激な時代の変化の波に同調した、2時間を切る上映時間は、映画の重量感までも損なっていた。
まるでほかに本編があって、これは「ダイジェスト版アンタッチャブル」のような印象。ギャング映画は長尺であってこそ、の方程式を勝手に編み出した僕は文句たらたらだった。
しかしもう中学生ではないので、そういう時代に作るべきではなかった映画という思いが残る不運な映画として、今は僕の中では記憶される。モリコーネだけに「MTV版アンタッチャブル」にならなかったのは、幸か不幸か、今となっては分からない。
しかし、2時間でダイジェスト、と思わせるのは、本と編集、および演出に問題があるからでこのへんが今でも本作の一番の欠点であると思う。
次にケビン・コスナー。
最後までなんだか青臭い。本当ならば、もっと時間を割いて成長するさまをじっくり見せるべきだとは思った。
主人公が少々アレでも、他がかっこよければOK、ということは多々あるが、残念ながらフォローできないほど、このエリオット・ネスはひどい。
次に「階段」。
アニメ「キャプテン翼」のシュートのシーンみたい。最大のクライマックスに中学生にあくびさせるとは、いかがなものか。
だいいち、すぐあとデ・パルマは「カリートの道」でおんなじシチュエーションで銃撃シーンを撮ってる事実は、コメンタリでどう言おうが、「あ、やり直したかったんだな」にしか思えないですよ。
ま、それでもこの映画が3時間あったら、当時の僕はコロッとなびいたかもしれないけどね。
中学生とはそんなもんだ。
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