「ルビー・スパークス」ネタバレ 「トリセツ」にガタガタ言わずに、婚活男子はこれを観よう。

ルビー・スパークス
劇場公開日 2012年12月15日

 

 

「ルビー・スパークス」

 19歳で天才作家として華々しくデビューしたものの、その後10年間にわたりスランプに陥っているカルヴィンは、夢で見た理想の女の子ルビー・スパークスを主人公に小説を書き始める。するとある日、目の前にルビーが現れ、カルヴィンと一緒に生活を始める。しかし、ルビーが自分の想像の産物であることを隠そうと、カルヴィンは周囲と距離を置き、そのことに寂しさを覚えたルビーは、新しい仲間たちと交流を広げていく。そうして次第に関係がぎこちなっていく2人だったが……。(映画.comより)

 

 

 というストーリーはあるものの、よくある妄想が現実になった、妄想男子の映画かというとちょっと違います。

 

 

 映画を観て思ったのだが、本作のストーリーは男の発想でなく、女性によるものだろうな、となんとなく思ったら、なんとルビー役のゾーイ・カザンが脚本を書いたという。しかも、相手のカルヴィン役のポール・ダノは実の彼氏だという。

 

 なるほど、これは「彼女」の、「彼氏」に対する、「男ってバカねえ」という可愛らしい気持ちと、「甘えてんじゃないわよ」という警告の思いの詰まった物語だ。

 

 

 序盤の展開だが、10年もスランプに陥ったところに、夢に理想の女の子が現れる。これは作家でいうところの、「神が降りてきた」ことを意味するのだろうか。脚本のゾーイ・カザンはこれを「恋におちること」と「ホンを書くこと」と同様に、それらはある種のマジックにかかることだと、したのだろう。

 

 主人公が、その女の子の事を書けば、その子が現実に現れ、書いた内容がそのまま彼女に反映されるという、ファンタジー設定で進んでいく。周りのみんなにルビーの存在が見えてくるのだが、要はそれだけ思いが強くなった、カルヴィンの中でより具体化したというだけであり、実際に彼女が見えているのか、カルヴィンの妄想の中なのか、は正直どうでもよくて、「ハッピー」は周囲に波及する、ということで良いと思う。

 

 だが、ルビーの設定がある程度固まり、カルヴィンが書かなくなるにつれ、ルビーがだんだんと外の世界、というか、カルヴィンから距離を置くようになる。

 

 

 それはそうだ。

 

 

 書いてこそ、本の神様が降りてこそ、のルビーの存在故、書いていない状態のカルヴィンに、ルビーを引き留める、つなぎとめる力はない。

 

人間力がないのだ。

 

 カルヴィンはそれに気づき、試行錯誤するも、徐々に束縛力の高い設定をルビーの性格にあてる。その束縛が段々とエスカレートし、カルヴィンはルビーを操り人形のように扱い、次々と自嘲気味に人間性を欠いた行為に及ぶ。タイプライターに没頭するほど、彼女の心は離れていく。。。

 

 そして、そんなことをしても、カルヴィンは満たされることなく、ついにルビーを束縛から解き放つ。思い通りにすることが、相手の愛を得られることではないことが、そこでようやくカルヴィン自身が学ぶ。

 

 カルヴィンの、その性格については、元カノのライラとカルヴィンが別れた理由に「私自身を見てくれなかった」という元カノのライラが言い分がここではっきりと、「女の子のこと、分かってねえなあ」とこちらも理解するのだ。

 

 

 元カノ、ライラの消えた理由は「カルヴィンは自分しか愛せない」。そのものずばり。

 

 

 そんな彼にルビーを「カノジョ」にする力はない。

 

 一方、その前にも、カルヴィンの良き理解者である、やり手のイケメンアニキも言っていた。どんなに愛していても、理解していると思っていても、「失うことがあるんだ」と。

 

 そんなアニキの「現実的な」意見があるように、100%自分の思い通りの「彼女」を作り出したって、カルヴィンの「理想の彼女」にはできない。カルヴィンでなくても、うまくいくかどうか。

 

 

 カルヴィンは、ルビーが去ったあと、ハリーに励まされ、また本を書きだす。思い出のタイプライターを封印し、想像から生まれ、実在したルビーとのことを本にし、書き上げる。ここでカルヴィンは、自身の反省をする。

 

 「妄想の嫁」「空気嫁」ではなく、「人間」を愛さなければいけないのだと。

 

 そのラスト、カルヴィンは再び「ルビー」に出会う。

 

 記憶のなくなったルビーかもしれない。別のルビーかもしれない。だが、「ホンを書き上げ、自身を反省した」カルヴィンは、その「ルビー」と「やり直せる」と素直になる。

 

 これをハッピーエンドとするか、「女に振り回される」恐怖の一日が始まるのかは、人それぞれだが、これは彼女の、彼氏に対する、「私のこと、ちゃんと見てよね」という女性からの目線の映画であるのは間違いなく、もうずっと独身のままだった、ただの映画バカにとってみれば、こんな恐ろしい映画はない。

 

 

だが、こんなに励まされる映画もない。

 

 

さいごに

 これを見て、つい西野カナさんの「トリセツ」を思い出した。「トリセツ」の歌詞がオンナのわがままばかりだ、といっているようでは、ダメなんだな。

 

 そういう意味では、「トリセツ」前に観ておくべき映画だと思う。特に当時、僕みたいに映画ばっかり見てきた婚活男子にはオススメ。

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