「デトロイト」
劇場公開日2018年1月26日
男顔負け娯楽アクションの名手で、ついにはオスカー監督にまで上り詰め、その後の「ゼロ・ダーク・サーティ」という「女性映画としての、娯楽アクション社会派映画」を作り上げた。
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それから数年。ビグローはいよいよ帰ってきた。待っていました。だが当時のアカデミーノミニー発表時にその作品名はない。
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だが本作を観ればそれも納得する。とにかく出遅れ感、古さ感満載。
黒人映画としては、「それでも夜が明ける」、「ムーンライト」といったアカデミー作品賞をとった2作品と比べると、明らかに「映画」として古い。
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さらに悪いことに、今更な「手振れの至近距離で実録風のカメラ」が古臭くってたまらない。
もっと言うと、題材も、差別心理の「本当の部分」をついた「ゲット・アウト」が出た時点で、もはや古いと言わざるを得ない。
(こんな「ゲット・アウト」評を書いたけど、今「デトロイト」と比較すると、やっぱり「ゲット・アウト」のほうが面白いかもしれない。)
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黒人映画を撮れば、オスカー獲れんじゃね、とまではさすがに思わないだろうが、製作陣の「いやらしさ」が露骨に見えている。それにしたって、出遅れ感はあるけれど。
これまでプロパガンダ映画と言われ続けてきたビグローだが、本作はついに明らかにそういう意図が見えている「舞台裏」には、そろそろ疲れる。当時のアカデミーは、セクハラ問題もあり、「正直」を前面に出してくるものが多く、それが当時のアカデミーノミニー全滅の要因ではなかろうか。
黒人映画の好きな僕も、この題材をこんなに実直にまじめに、アツく撮られても、既視感でしかないのです。
うたい文句の「緊迫の40分間」にしても、そこにいた連中にも問題あるし、そこにいた女子二人も「娼婦」と言われても全くおかしくないため、近っかいカメラと展開だけの演出で迫っているだけで、なんらドキドキすることはない。なかには、殺してください、って言っているような輩まで出てくる始末。
暴動、尋問、裁判、と3幕構成もあまりうまくいっておらず、特に裁判はもうそういう結果だろうな、と分かるような話なので、字幕で終えてよかったろうに。アツイのはいいが、直球すぎて、どうしても先の3作品と比べてみると、映画として退屈なのです。
やるだろうな、と思った一番いかれてる警官が、やっぱり撃っちゃうし、やるだろうな、と思った2番手のスケベ面の警官が、女子の「お約束」のワンピースを上から下まで引っぺがしたり、やるだろうな、と思った下っ端の警官がお約束通り「やってしまった」り。また他のシーンでも、署に呼ばれたボイエガに対し、いきなり取り調室の机を捜査官がたたきつけ、劇場が凍る、など。
当時のアカデミーの黒人枠は確かに「ゲット・アウト」。だが、それも話題のみで終わることだろう。「ゲット・アウト」が出てきて、黒人枠の特別枠はきっと終息すると思われます。
※この記事は劇場公開時に作成したものですが、このあとの「グリーンブック」、「パラサイト 半地下の家族」の受賞を見ると、やっぱり世論を気にすぎなアカデミーが段々残念なほうへ向かっているような気がします。
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