「デイズ・オブ・サンダー」 脱線、クラッシュしないストーリーとトム・クルーズ

この以前のトム・クルーズは「ハスラー2」でポール・ニューマンを引き立て、「レイン・マン」でダスティン・ホフマンを立て、大御所からとっても寵愛をうけていたころである。

 

でぼちぼち、自己主張をしたくなりだしたころに作られたのがこの「デイズ・オブ・サンダー」。

 

この映画は当時のトムそして今のトムが見事に画面で表現されている彼の代表作と言える。その特徴を挙げてみよう。

 

 

1)トム・クル ーズはやはりアゲちんである。

 

ニコール・キッドマンはおろか、わざわざ「トップガン」と同じことをトニー・スコットにやらせたり、今はすっかりスターになったマイケル・ルーカーのふてぶてしいレーサーぶりを引き出したりして、のちの彼らの大活躍の足ががりとしてこの映画が記憶される。もはやそれだけの映画としての価値しかないところが素晴らしい。ランディ・クエイドが久々だったのも当時うれしい記憶。

 

2)トム・クルーズは演技派である。

 

キッドマンとの口論のシーンは最高。キッドマンに怒鳴られると、猫背になって、キョドり、目をぱちくりさせるシーンは最高である。

 

 

3)かっこつけてナンボ。しかしそれは自分だけのためではない。

 

最初の登場シーンはもうサイコーっ!!

 

まあ、かっこいいのだが、このときのロバート・デュバル、マイケル・ルーカーの顔が最高である。

 

こちらも笑いをこらえるので精一杯でもある。本作で最も素晴らしいシーンがここ。ここだけは絶対に見逃してはならない。

 

自分をかっこいい、とみせ、回りの役者の演技を同時に引き出せる稀有な存在がトム・クルーズなのである。

 

こんな役者いない。まさしく「スター」。

 

4)トニー・スコット

 

映像についてはトニー・スコットのカラーがその前作「ビバリーヒルズ・コップ2」からさらに強く出てきており、レースシーンもかっこいい。

 

ただしその分、中途半端にMTVぽいので、スカスカ感も強調されているようにも思える。

 

ストーリーはまさしく「箇条書きにして終わり」な、ものすごいびっくりするほどのスカスカ映画。レースシーンも究極的にふざけてらっしゃるし、いきなりクラッシュ、ちょっとだけ悩んで、奮起して、イエイで終わり。

 

しかし当時の映画はみんなこうだったんだよ。

 

「アンタッチャブル」なんてその最もな例だと思う。まあ、そういう意味では、「ロッキー4」は大傑作なんですけど、おっとこれはここでは関係ない。

 

そんな時代のヒーロー、トム・クルーズの「ゴースト・プロトコル」の大ヒットは古くからのファンとしてはうれしいものがありました。

 

しかし、いくら年をとっても、本作みたいなトム・クルーズがいつまでも見たいんだよなあ。

 

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