「地獄の黙示録 ファイナル・カット」ショートレビュー 映画オタクが25ぶりに本作を観たら。

地獄の黙示録 ファイナル・カット
劇場公開日 2020年2月28日

 

 

 往年の名作を4KやIMAXで観ることができるようになり、とってもありがたいです。その映像や音響を楽しむのにもってこいの作品が登場。

 

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僕が一番よく映画を観てた時は高校生のころ。特に「ベトナム戦争」と「ギャング」ものにハマっており、友人は「バリバリ伝説」と「あぶ刑事」に対し、「プラトーン」と「アンタッチャブル」ばかり観てた。 まあ、ぶっちゃけ、僕はひねくれたガキだったわけ。...

 

 

ただし、本作を名作と言っているのは僕ではない。

 

 

 

 高校生の時のVHS鑑賞が初見。劇場公開当時はベトナム戦争映画ブームのやや走り。

 

 

 当然のことながら、ベトナム戦争映画にハマっていた青臭い高校生にとっては、前半最高。後半最低。

 

まあ、当たり前ですね。

 

 そんな青臭い高校生が大人になり、25年ぶりの鑑賞にて、ただのおっさんの本作への評価は変わったのか?

 

 

「地獄の黙示録 ファイナル・カット」

 

結論からいうと、変わってない。

 

 

 僕がおっさんになって思ったのは、これは「特別なもの」ではない、ということ。

 

 後半はやはり撮りたいものが撮れなく、こうなってしまった感のほうが強い。奥に行けば行くほど、狂気に近づいていく、という風には見えない。

 

キルゴアだってしっかりイカレているからね。カーツもキルゴアも二人とも狂っている。

 

 タイプはまるで違うが。

 

キルゴアとカーツ

 カーツはきっとキルゴアのことが嫌いだろう。キルゴアもドロップアウトして引きこもったカーツを気持ち悪がるだろう。カーツは「考えすぎのめんどくさいじじい」。

 ウィラードは、キルゴアにはついていけないが、カーツには憧れた。初めからウジウジしているウィラードが憧れるのも分かる。コイツもめんどくさい奴だ。

 

 一方、キルゴアはブラック企業のなかで、舌の根の乾かぬ内に行動を変えて立ち回る。それでも陽気なキルゴアに部下はついていくだろう。

 銃弾にも爆撃にも当たらない、恵まれた星に生まれた男だ。カーツはこうはいかないだろう。

 

 

 カーツは出世したものの、望むべきものが上にはなく、兵士たるもの、といき勇んで現場に戻ったら、居場所がなくなり、こんなはずじゃなかったと、引きこもった、というだけだ。ただし、元来優秀なその彼のうんちくは、同類には響く。ゆえの王国。そして、それゆえの破滅願望。

 

 キルゴアはその「願望はない」。銃弾が避けていくだけだ。

 

 ゲーム感覚の殺戮と生首ゴロゴロの生々しい殺戮。どっちも同じことだが、サーフィンできるなら、焼き払え、というほうが生きやすいかもしれない。

 

 だが、そんな「アメリカ」は願い下げだ、という気持ちも当然ある。

 

 そんな世界で、若い「フィッシュバーン」クリーンが「めんどくさい奴ら」に振り回されつつ、生き残るほうが意義はあったと思う。

 

 CGのない時代の映像にお金をかけまくり、とんでもない迫力と音響はほかにはないものであることは紛れもない事実だが、面白いか、傑作か、と言われるとそうでもない、といったところ。

 

さいごに

 ラストのエンドクレジットは、通常版は確か王国を焼き払う映像で終わっていたはずだが、そうでなくなったのは、カーツが悪、という結論付けをしたくなかったからだろうか。ただ、あの映像自体はとっても印象深いものだった。

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