2017年 年間ベスト映画

毎年恒例のあまのじゃくな年間ベスト10の発表です。

2017年のラインアップはこちら!

・傷物語III 冷血篇(劇場公開日 2017年1月6日)
・ネオン・デーモン(劇場公開日 2017年1月13日)
・ドクター・ストレンジ(劇場公開日 2017年1月27日)
・虐殺器官(劇場公開日 2017年2月3日)
・ナイスガイズ!(劇場公開日 2017年2月18日)
・ラ・ラ・ランド(劇場公開日 2017年2月24日)
・お嬢さん(劇場公開日 2017年3月3日)
・哭声 コクソン(劇場公開日 2017年3月11日)
・キングコング 髑髏島の巨神(劇場公開日 2017年3月25日)
・ゴースト・イン・ザ・シェル(劇場公開日 2017年4月7日)
・スウィート17モンスター(劇場公開日 2017年4月22日)
・ワイルド・スピード ICE BREAK(劇場公開日 2017年4月28日)
・無限の住人(劇場公開日 2017年4月29日)
・ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス(劇場公開日 2017年5月12日)
・スプリット(劇場公開日 2017年5月12日)
・メッセージ(劇場公開日 2017年5月19日)
・夜に生きる(劇場公開日 2017年5月20日)
・光をくれた人(劇場公開日 2017年5月26日)
・パトリオット・デイ(劇場公開日2017年6月9日)
・22年目の告白 私が殺人犯です(劇場公開日 2017年6月10日)
・ハクソー・リッジ(劇場公開日 2017年6月24日)
・パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊(劇場公開日 2017年7月1日)
・ライフ(劇場公開日 2017年7月8日)
・ウィッチ(劇場公開日 2017年7月22日)
・ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章(劇場公開日 2017年8月4日)
・トランスフォーマー 最後の騎士王(劇場公開日 2017年8月4日)
・ベイビー・ドライバー(劇場公開日 2017年8月19日)
・ワンダーウーマン(劇場公開日 2017年8月25日)
・ダンケルク(劇場公開日 2017年9月9日)
・エイリアン コヴェナント(劇場公開日 2017年9月15日)
・スイス・アーミー・マン(劇場公開日 2017年9月22日)
・ドリーム(劇場公開日2017年9月29日)
・ブレードランナー 2049(劇場公開日 2017年10月27日)
・ゲット・アウト(劇場公開日 2017年10月27日)
・IT イット “それ”が見えたら、終わり。(劇場公開日 2017年11月3日)
・ノクターナル・アニマルズ(劇場公開日 2017年11月3日)
・マイティ・ソー バトルロイヤル(劇場公開日 2017年11月3日)
・ジャスティス・リーグ(劇場公開日 2017年11月23日)
・パーティで女の子に話しかけるには(劇場公開日 2017年12月1日)
・スター・ウォーズ 最後のジェダイ(劇場公開日 2017年12月15日)

以上の40本。2016年よりマイナス3本で、この少ない鑑賞数からベスト10を選ぶのも、なんだか悲しい気もするし、申し訳ない気もします。

2016年は「君の名は。」、「シン・ゴジラ」、「この世界の片隅に」といった邦画の圧倒的なヒット作、話題作も観れてよかった年でしたが、洋画は、名匠の作品が軒並み期待が大きい分残念な結果と、あまり名を聞かない監督作が僕のベスト10の大半を占める、という結果でした。

いい意味でも悪い意味でも「期待外れ」という素晴らしい内容でした。

2017年は果たしてどうだったというと、20016年ほど派手な動きはなかったかな、という感じで、大外れもなければ、「この世界の片隅に」のように一生ものの作品にも会えなかったという1年。2017年はこのラインアップではなくとも、ベスト10を選出するのが難しい年、というのが現在の感想。

それでも鑑賞数が少なすぎる。。。という外野の声を振り払い、始めます。

毎回言っていますが、「ベスト」の定義は

1)期待値を上回った

2)若干世間から疎まれた、忘れられた

3)でもすごい好きな

作品を上位にするようにしています。作品の質とか、人気とか、は一切頭にありません。なので、いずれもおおよそ世間とは異なる順位になることが多くなります。

ではいきます。2017年ベストの発表です!!

!!!若干それぞれネタバレがありますので、ご注意ください。

10位 : 「ドクター・ストレンジ」
シンザン
シンザン

いきなり、なんで?!という声も聞こえそうですが。

「スイス・アーミー・マン」、「ダンケルク」、「ワイルド・スピード ICE BREAK」、「エイリアン コヴェナント」、「パーティで女の子に話しかけるには」あたりを押しのけ、10位に選出した理由はただひとつ。

 

ベネディクト・カンバーバッチが素晴らしい、ただそれのみ。

意味のない驚異の(笑い)映像が既視感たっぷり、ストーリー駆け足過ぎ、ヒーロー誕生譚としては最低レベルのデキ。だがそれを補って余りあるほど彼の存在は素晴らしい。

彼が出る限り、マーヴェル映画はもうちょっと見ていようかな、と思わせてくれている。もう少し言うと、主要キャストの国際感のある配役な、アメコミらしくないところを少しだけ評価。かなりの大甘な評価ですが。

外野で「ダンケルク」外して、コレかよ!?という声もありそうですが、「ダンケルク」はやかましいばっかりで、何一つ楽しいものがなかったのだから、しょうがないんです。

09位 : 「ネオン・デーモン」

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ニコラス・ウィンディング・レフンの怪作「ブロンソン」、「ヴァルハラ・ライジング」、「ドライヴ」、「オンリー・ゴッド」から、本作は大きく評価ダウン。初見時には、レフンの割には退屈な映像、あまりにつまらないストーリー、説明すぎる陳腐なセリフ、でがっかりしたものですが、なぜ、9位にランクインしたかというと、

エル・ファニングが素晴らしい、ただそれのみ。

作品的には、まだトム・フォードの「ノクターナル・アニマルズ」のほうが、という気もしないでもないですが、「メッセージ」、「ノクターナル・アニマルズ」の、エイミー・アダムスのおば様ぶりが良かったものの、「ジャスティス・リーグ」の「ヒロイン」役に正気を疑ったため、なんだかよくわからないが、却下。

ただの高校生を演じただけに過ぎない「スイート17モンスター」のヘイリー・スタインフェルドは、エル・ファニングより、、、、。

ということで、こちらを9位に。

あとはラストのSIAの曲が映画のテーマと映像にフィットしており、エンドロールだけでいうなら、2017年ベスト1。

シンザン
シンザン

荒廃した大地を歩く女。その大地は、まるで荒れた角質層のよう。

 

 

08位 : 「お嬢さん」

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僕にとって、パク・チャヌクは「オールドボーイ」、復讐三部作より「イノセントガーデン」!

という真性のあまのじゃくの僕が本作を8位に選んだ理由は、本作の、日本を愛し、尊敬し、軽蔑し、バカにする、という多重構造な演出にある。

パク・チャヌクは日本のことが好きなのはわかる。春画に着目する点など、明らかにヘンタイ的に日本文化を愛しているはずだ。

一方、ここに登場する日本人は韓国人が演じており、放つ日本語は思いっきり片言である。だが、その片言が日本人の僕にとっては、ちゃんとギャグに聞こえるのである。ひょっとしたら、韓国人が片言で、日本人になりきる、というのは、戦時中の、侵略批判、ともとれなくはないが、そういった思想を凌駕する、「遊び心」、「上手さ」がここにある。

ストーリーは退屈、3部構成も目新しさなく、どんでん返しも想定通り。問題のエロスもはっきり言って、「イノセントガーデン」のピアノのほうがいやらしい。

だが、それでもチャヌクの「上手さ」は健在で、映像の美しさとギャグで十分楽しめる作品、ということで、8位。

07位 : 「ドリーム (私たちのアポロ計画)(笑)」
シンザン
シンザン

こんな邦題の汚点、忘れちゃったら、もったいない!!

ライムスター宇多丸さんが一位に挙げてた作品。「人に勧められる映画」としては一級品だと思う。そういう意味では一位に挙がる理由も分かる。だが、あまのじゃくとしては、それでは面白くないんです。

本作の難しいところは、やっぱり「天才の話」である、ということ。

「天才だけど、努力もする天才だけど、差別で報われない」ではなく、「天才だから、努力もできる天才だから、勝ち取った」。物語の節目節目で、それが顕在する点。

むしろ、本作で面白かったのは内容ではなく、これほどまでに「人に勧められる映画」なのに、これが後世にまで残る可能性もあるほどの映画なのに、邦題が「後世に残すつもりのない」どうでもいいタイトルをつける、ある意味とっても大胆な配給会社。

06位 : 「無限の住人」

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原作知らないけれど、キムタク、はまり役。とても頑張っているし、そもそも顔の大きさが時代劇向き。

なにより、みんなで寄ってたかってキムタクいじり、の設定が最高に楽しい。

三池さん演出もダメなところは相変わらずダメだが、良いところはとことんよい(特に映像)。

杉咲花さんのやかましい演技と、ハジけた市原隼人さんなど役者の楽しい見どころ満載。特に海老蔵さんの「いずれ迎える悲しみを悟った」かのような演技が神がかっている。

悔やむべきは、そのくせ、面白キャラが生かされていない点。初めから3部作構想でいたらなあ、という気もするが、ピークのキムタクであれば、スケジュール面でNO,今のキムタクであれば、興行面でNO、という残念なタイミングの作品。

05位 : 「マイティ・ソー (あえての)ラグナロク」

バトルロイヤルって、特報の段階で邦題つけなきゃいけなかったんですよね?はい、わかりますよ。

だけど「マーヴェル映画」を見に来る客層に対して、「ラグナロク」をやめて、「バトルロイヤル」にする、はあり得ないと思います。

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス」の方は全く気にならないのは、もちろん僕がそっちは全く興味がないから。

だけど、その邦題への文句がすっ飛ぶほどに本作は面白い。

これは「ドリーム」とは違って、「とことんバカをしましょう。豪華キャストを使ってとことんバカをしましょう」という映画になっているから、僕たちも「忘れていい」映画なのだ。

「消費される映画」としての、作り手の自覚と覚悟、自信があるから、本作はとっても素晴らしい。

「シビルウォー」で飽きちゃった僕だが、ドクター・ストレンジとソーとロキがいれば、マーヴェルはまだ楽しめる。

シンザン
シンザン

くやしい。

04位 : 「ブレードランナー 2049」

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2017年、映画オタクとしては、最も気になった映画としては、「ゴースト・イン・ザ・シェル」ではなくして(笑)、「キングコング 髑髏島の巨神」でもなくって(笑笑)、「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」でもなくって(怒泣)、これでしょう。

ドゥニ・ビルヌーヴ監督作品としては、年間ベストで「メッセージ」を挙げる人、「メッセージ」とこれを挙げる人、いると思いますが、「メッセージ」は騒音、と僕は思っているけど、「ブレードランナー2049」はとてもよかった。

とにかく、前作同様、「垂れ流しできる映画」として、「マイティ・ソー」とは違う意味で、「消費できる映画」としての価値が素晴らしい。

ドラマ性は「her ひとつだけの彼女」とダブる感はあるが、人間のようなレプリカント、ではなく、今は人間もレプリカントも一緒、ということ。

本作の後、ドゥニ・ビルヌーヴが「DUNE」を撮る、というニュースが流れたが、本作を見ると、期待せずにはいられない。

いよいよ、ベスト3です。

なんだか、若干テンションが下がってきている気もしなくもないが、そんなことはありません。

03位 : 「ハクソー・リッジ」

 

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メル・ギブソンの映画は全部好きなですが、本作はそれらよりも、僕の中では、ちょっとだけ評価は低い。

なんだけど、10年ぶりの新作、というだけで年間ベスト3位。それでいいと思う(笑)。

よく言えば、いつものメル・ギブソン作品。悪く言えば、いつもと同じ。あえて言うと、前半の娯楽映画の教科書のようなストーリー展開が彼の作品のなかでは、新しく、ほっこりくる(か、甘いとみるかは人それぞれ)

02位 : 「ウィッチ」

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きました、2017年ベストのホラー枠。何と2位です。2016年の「ドント・ブリーズ」が3位でした。今年は世間一般では、ホラー枠としては、「ゲット・アウト」を挙げる人も多いでしょうが、「ゲット・アウト」はないです、全力でないです。

悪魔は「人の弱みに付け込む」存在だが、それは「救済」でもある。

そのことを本作は一つの家族をもって表現している。それぞれの死に方がまさしくそれで、主人公の行く末も主人公が願った結果であること。そこに至るまでの、ストーリーテリングのうまさにびっくりします。映像と音楽もゾクゾクしますよ。

シンザン
シンザン

あとは、魔女がいそうな、新宿武蔵野館で観たこともとても大きいです。

いよいよベスト1です!!

もうすでに記事に飽きちゃった人、すみません。そんな方にはおそらくベスト1はつまらないかもしれないです。

シンザン
シンザン

「ラ・ラ・ランド」や「スイート17モンスター」は残念ながら違います。

ここまで興味深く読まれた方、私と同様ヘンタイだと思います。ですが、そんな方にはおそらくベスト1はがっかりすると思います。残念ですが、「ベイビー・ドライバー」や「コクソン」ではありません。もちろん、「傷物語III」や「ジョジョ」が入ってくるほど、僕はおかしくはなっていません。

ではいきます。

01位 : 「光をくれた人」

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実は僕はラブストーリーが大好き。

本作の素晴らしい点は、もう挙げればきりがないです。駄作なしのデレク・シアンフランス監督。イケメン演技派マイケル・ファスベンダー。愛らしいアリシア・ヴィキャンデル。いつまでも美くしいレイチェル・ワイズ。豪快な風景とそれをおさめた映像、完璧な音響。

僕自身が妊活中だったこともあり、ヴィキャンデルとファスベンダーの苦悩が他人ごとにように見えなかったのも大きい。

そして本作の批評のなかで、ヴィキャンデルに対して、流産はかわいそう、だけど身勝手な妻、という意見についてだが、そんな批評をする人は、本作は「戦争映画」でもあることを忘れている。

登場人物はすべて戦争の被害者であるということ。兄弟が戦死したこと、若い男がみんないなくなったこと、ヴィキャンデルとファスベンダーの最初の出会いから結ばれるまで、彼女の「あからさまな、積極的な」アプローチをみればわかる。

そしてヴィキャンデルは罪を背負ったまま、赦しの言葉を聞けずに、死んでいく、という悲しいラストを見逃している。

「光をくれた人(原題The Light Between Oceans)」原題も邦題も完璧。

シンザン
シンザン

人は人を照らす。

以上、2017年のベスト10でした!

番外編

2017年に観た映画で、劇場公開作以外に一本、大変面白かった作品があるので、ここで紹介しておきます。

「クルーシブル」(’96)

セイラム魔女裁判のお話だが、もちろん2位の「ウィッチ」を観た影響です。こちらを鑑賞したら、こっちのほうも怖くて、面白かったという。

僕的に、史上最高の俳優、と思っているダニエル・デイ・ルイスと、演技派としては結局認められなかったウィノナ・ライダーの共演。ライダーのその後の不幸は本作にあったのではないかと思いをはせてしまう。それほどまでにはまり役。

本作の後、「ウィッチ」を観るとまた面白いです。

 

 

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