「シェイプ・オブ・ウォーター」 ネタバレ 同人誌映画アカデミー賞受賞?!

「シェイプ・オブ・ウォーター」
劇場公開日2018年3月1日

ポスターみたまんまの映画だったことに、意外とびっくり

ギレルモ・デル・トロ

 言うまでもなく「パシフィック・リム」の監督であり、「ヘルボーイ」シリーズの監督であり、傑作「パンズ・ラビリンス」の監督であり、意外と知られていない、「ホビット」シリーズの脚本家。

 キャリアは「ある意味」十分だが、一貫して「『異形』への偏屈な愛」にみちた映画作家。故にキャリアは「ある意味」全然積み重ねられていない。

 スピルバーグも慕う、まさに真正のオタク映画作家の最新作がオスカー最多ノミニーだという。どうしたことか。

 

「シェイプ・オブ・ウォーター」

 前作「クリムゾン・ピーク」でゴシック・ロマンスという、無謀にも、身の程知らずといってもよかろうな、ジャンルに手を出し、結果、撃沈した。

 前作「クリムゾン・ピーク」の決定的な欠点は、美男美女を取り揃えているにも関わらず、全然キレイに美しく撮れていない、という点だった。本作は、その反省だろう。あっさり、美女と美男を捨てた。

 それゆえ、これまでデル・トロ作品を何本か見ているものにとって、本作で繰り広げられる世界は、なんら変わりがない。なんら予想を外すこともない。

 主人公はそのルックスから言って、間違いなく「パンズ・ラビリンス」の主人公オフィリアの生まれ変わり、のような存在。実際序盤から、あっちの世界とこっちの世界を行き来している。声を失っているのは、あたかも、「あの」王国から再びこの世へ送り込まれたかのよう。

 登場する半魚人もこれまた、「ヘルボーイ」でも活躍させるように、ギレルモ自身が大好き半魚人。

 とにかく全編、詰め込み過ぎの、語らなすぎと、語り過ぎ。

 

それはなぜか?

 このデルトロ監督、キャラクター設定は異様に凝っており、その生い立ちや背景など、映画の登場しない部分もきっちり作りこんで、役者陣に説明し、撮影に臨むスタイル。キャラクターに肉付けは必要以上に、執拗にする、という「これぞ、同人誌」精神。

 

アカデミー賞

 次に、今回の受賞についてだが、アカデミー会員の多様化と若返りの極端な反動でしかないと思っている。「多様化」の側面が、思いっきり「マイナス」に働いたのが、この「同人誌」映画の最多ノミニーという結果。

 確かに、そろそろジャンルな作品がオスカーを、という世代交代は始まっていると思う。

 だが、本作は「サイレンス」「モノクロ」「映画館」という「映画愛」という、アカデミー大好き要因と、当時のトレンド「女性」がたまたま合致し、プラス得意の「異形」を「マイノリティー」とアカデミー会員がすっかり勘違い。

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