THE虎舞〇のほうが先にこの映画のテーマを先んじていることにほんのちょっと日本人として誇らしく思ったりして。
本作、途中で何気なく、結構重要なことに気付く。
「この映画、タイムトラベル設定、要るかなぁ?」
果たして主人公のタイムトラベル能力が彼の人生を変えただろうか?
「アバウト・タイム 愛おしい時間について」
最初の彼女との出会いブラインド・デート喫茶?みたいな、は、まず相手が見えない、けど話は盛り上がった、実際会ってみると、想像以上にかわいく、彼女のほうも、こっちの印象はまんざらでもない。すべてはここからスタートしている。これ以上ない劇的な出会いなのだ。
そもそも彼は非モテではないよね。
トラベル家系で当たり前だが、優秀な家系の、タイムトラベル能力に頼ってではない弁護士になれた頭脳、長身、英国ルックも決まっている。トラベル能力の後押しか、妙であれ、度胸もある。
最初の初恋の相手が合わないだけだったのだ(後でそれもひっくり返されるが)
ちょっと考えれば、過去に戻らなくても、ケイト・モス展にいけば、彼女に会えるし、彼のルックスとキャリア、誠実さなら、軽めの彼氏から彼女をぶんどることも可能なのだ。
妹の件も結局事故は避けられず、彼女自身の改心をもって、彼女の生き方を変えるきっかけになっただけだ。
注目すべきは、戻ってもよかろうときに戻っていない点。
結婚パーティの大嵐。日程を変えたり、場所を変えたりして、やり直すこともできる。だがそれはしない。本当に楽しいときは、ちょっとした災難も、楽しい思い出になる。ということだ。
また同じことを繰り返しても、決して満足はしない。新たな生命、新たな時間を優先する。
何でもないようなことがぁ、の通り、毎日を生きることで明日がある。まずはここがこの映画のポイントの一つ。
ずいぶん回りくどい映画だが、そもそもこの家族、他人はものすごーくうらやむだろう程に超幸せなんだから、どうしてこの家族を設定にしたのかが、この映画のもう一つのポイントだろう。
それはやっぱりタイムトラベルで幸せになってはいけない、ということだろう。
え、訳が分からない?
タイムトラベルが幸せにしてくれたんじゃあない。自分の努力が、隣の妻の励ましが、妹の兄を思うやさしさが、家族を幸せにしてくれるのだ、と主人公は知っている。幸せ絶頂の時は、タイムトラベルはしないが、父との別れという最大の不幸もタイムトラベルでは結局解決してくれない、ということに第3子の選択とともに気づくのだ。
だが、その帰着点も、
「いやいや、さんざんタイムトラベルして、父との時間をさんざん満喫したでしょ?」
と突っ込めば、それはそれで、なんて贅沢な幸福家族なんだ、ということにもなるので、その点は苦笑するしかないんだけどね。
The Luckiest /Ben Folds
And where was I before the day
That I first saw your lovely face?
Now I see it everyday
And I know That I am I am I am The luckiest
(歌詞引用)
この映画に感動する人は、自分も幸せなのだ、と認識するから感動するのだと思う。そういう意味では「愛おしい」な作品だと思う。
劇場公開日2014年9月27日
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